緑川光、佐久間大介、中井和哉、佐倉綾音、下野紘、豊永利行、井上麻里奈が東京公演に懸ける思いを語る――朗読劇『約束の果て』公演直前取材会レポート(第一弾)

2026年9月28日(月)・29日(火)の二日間、東京国際フォーラム ホールAにて、朗読劇 READING WORLD ユネスコ世界記憶遺産 舞鶴への生還 『約束の果て』が上演される。

本作は、第二次世界大戦後、日本最後の引揚港となった京都・舞鶴港を舞台に、シベリア抑留という過酷な運命の中でも帰還を信じ続けた人々の姿を描く物語だ。初演から大きな反響を呼び、待望の東京再演となる。
公演初日となる9月28日の開演に先立ち、メディアに向けた「公演直前取材会」が開催された。
取材会には、本作に出演する豪華キャスト陣が登壇。
リポート第一弾にてはその中から、緑川光、中井和哉、佐倉綾音、下野紘、豊永利行、井上麻里奈の6名が、念願の東京公演に対する意気込みや作品への思いを語った(※佐久間大介のインタビューは第二弾で特集)。
<<キャストインタビュー>>
【緑川光】

――今回改めて、この作品を上演することについてのお気持ちをおしえてください。
2年前の初演時に、いつか東京で、もっと大きい規模で沢山の方に観ていただきたいと話していました。それが念願叶って非常に嬉しいです。
――注目してほしいポイントをあげるとしたら、どこでしょうか?
今回のキービジュアルにも描かれている折り鶴が、ステージ上に「約束の果て」のタイトルとともに飾られています。舞鶴市の方々、関係者、スタッフ、役者陣全員で折った折り鶴がいい感じにコラージュされているので、一緒に観ていただきたいなと思っています。
そして今回、朗読劇としては広いステージでお送りすることになるんですけれども、その辺を考慮して「魅せる朗読劇」を作ってくださっておりますので、是非その辺も注目していただければなと思います。
――皆さまへ一言ずつメッセージをお願いします。
舞鶴で記念館に行かせていただいて、そこで中高生ぐらいの方達が語り部をしている姿を聴き、私たちもそういうものを引き継いでいかなければという気持ちをすごく感じました。実際に現地で説明を受けないと分からないこともありますが、今回東京公演ということで、ただの朗読劇ではなく、そうした体験をしている我々が、朗読劇プラスアルファで語り部としての任務も担っていきたいなと思っております。
日々殺伐としていることが多いので、あんまりそういうことは繰り返したくないなという思いは当然あります。空っぽな気持ちで見ていただいて、何か持ち帰っていただけると嬉しいなと思います。

【中井和哉】

――今回初めて、「約束の果て」に参加されますが、初めてこの作品に触れた時どのような印象を持たれましたか?
2年前の初演の公演映像を拝見したのですが、本当に素晴らしい物語で心震えるような思いをしました。初演を演じられた皆様が本当に素晴らしいので、自分が入っていくことへの躊躇いみたいなものも正直ありました。
今回、竹本を演じるにあたって、前任の下野さんがいるというのはかなりプレッシャーでして……(笑)と、隣に立つ下野紘と顔を見合わせ、笑顔を見せていた。
――注目してほしいポイントをあげるとしたら、どこでしょうか?
我々メインキャスト以外にも、コロス、アンサンブルの皆さんが舞台の雰囲気を作り上げてくださっているので、そこも観ていただけたらという風に思います。
――皆さまへ一言ずつメッセージをお願いします。
過去を描いたもので、過去にあった物語ですが、間違いなく現在につながる物語であり、未来に残していかないといけない物語だと思います。是非触れていただきたい、知っていただきたいという風に思います。

【佐倉綾音】

――今回改めてご自身の役と向き合って初演の時とは違って見えてきたことや、新たに感じていることなどありますか?
東京でもぜひみなさんに、この演目を届けてほしいという声はずっと届いていました。なので、こうして東京国際フォーラムという大きなところで、たくさんの方々に観ていただけるということにも大きな意義を感じています。
当事者の方が経験したことを預かって表現し直して後世に伝えていく、これに対して語り部という立ち位置でまたこの作品に関われること、非常に幸せなことだと感じました。
――注目してほしいポイントをあげるとしたら、どこでしょうか?
人と人が憎しみあって争い合う、その対峙してる人同士だけじゃなくて、その人のバックボーンにたくさんの人たちがいる、悲しんだりしている描写などの裏側をしっかりと描かれているというところがこの本の良さだと思っています。二度と繰り返さないようにという教訓も含めて、東京でたくさんの方に観ていただけることは、良い経験になるのではないかと思っています。
――皆さまへ一言ずつメッセージをお願いします。
この作品に関わるまではお恥ずかしながら様々な歴史についての知識が全然足りていませんでした。この作品を通して知ることもたくさんあり、私みたいな立ち位置の人間がそういう風に語り部を気取ってみなさんに伝えて良いものなのかなと自信が無かったのですが、語り部として参加させていただくというところで、きちんと口伝していくべきなんだという風に胸を張って過ごせるようになってきました。
今回は二日間、フォーラムにお越しいただく皆さんにしかお届けできないんですけども、是非観た方はたくさんの方に口伝してほしいなと思っております。まずは、目の前のお客さんにしっかり思い出と歴史を持ち帰っていただくことを目標に頑張ってまいります。よろしくお願いします。

【下野紘】

――同じ「約束の果て」という作品に違う役で参加することで作品の見え方に変化はありましたか?
改めて過去に竹本をやっていて、今回沢村を演じる、同じ作品なのに違うキャラクターをやるって結構自分の中で不思議な気持ちだなと思います。竹本を今回は中井和哉さんが演じられるので、初演の際に演じていた役を、自分の目で見ることができるのが不思議な感じがします。
魂を込めて演じないと、お客様に伝わらない部分があるんだろうなと思っているので、命懸けで頑張りたいと思います。
――注目してほしいポイントをあげるとしたら、どこでしょうか?
物語の中で、手紙のやり取りをするシーンがあるんです。その手紙のやり取りを抑留している人たちと、そして日本に残っている人たちとでやり取りするっていう。そういう風にメインキャストだけではないところでも物語が描かれているというか、心揺さぶられるような、そういうシーンを聴いていただけたら良いかなって思います。
この時、横にいた豊永利行とよくアイコンタクトを取る場面も見られた。
――皆さまへ一言ずつメッセージをお願いします。
初演の時とはまた別のキャラクターをやらせてもらえるというのは、役者として本当に楽しいことの一つだと思っています。中井さんがやられる竹本がどんな感じになるのかなというのを観させていただきつつ、自分のキャラクターを命懸けで演じ切りたいなと思っています。

【豊永利行】

――今回初めて、「約束の果て」に参加されますが、初めてこの作品に触れた時どのような印象を持たれましたか?
僕は前回『約束の鎮魂歌(レクイエム)』に出させていただきました。脚本とか演出の力で、いわゆる見え方だったり見せ方みたいなもののちょっとした違いだったりとか、それぞれの人物像のどこをピックアップするのかみたいなところの違いのようなものが、僕はすごく興味深いなと思いました。
前回に引き続き今回も下野さんとのWキャストである意味コンビみたいなものですね、と和やかに語っていた。
――注目してほしいポイントをあげるとしたら、どこでしょうか?
今回の舞台に関しての朗読と舞台が二重構造で行われるような仕組みだったり、会場の皆さんの演奏だったりなどがあります。個人的にはシベリア抑留というものが一体なんだったのか、その当時のシベリア抑留におられた方の生き様というものを佐久間さんと緑川さんがセンターを張って演じられることにすごく僕は意味があるんじゃないかなと感じております。今の若い方に知っていただく機会そのものがまさにこの作品をやる、注目するポイントなのかなと思います。
――皆さまへ一言ずつメッセージをお願いします。
今回、東京国際フォーラムという非常に大きい場所で、朗読劇、今回のところは朗読劇と一言でくくると勿体無いというか、ちょっと新しいジャンルなんじゃないかなというくらいの作品になっていると思います。

【井上麻里奈】

――今回改めてご自身の役と向き合って初演の時とは違って見えてきたことや、新たに感じていることなどありますか?
去年舞鶴の方の引き揚げ記念館の方にお邪魔させていただいて、物語にも出てくる往復ハガキの実物を拝見しました。待つ人たちの想いだったりをその手紙の中から非常に正確に読み取ることができて、待っている人の気持ちというものがより深まったような気がしています。それを今回の作品にぜひ活かしたいなと思っています。
――注目してほしいポイントをあげるとしたら、どこでしょうか?
下野さんも郵便ハガキのシーンに触れてらっしゃったのですが、今回その初演の『約束の果て』から新たに加わったシーンがその手紙のやり取りのシーンなんです。先ほども記念館で実際の手紙を拝見したというお話をしたのですが、おそらく実際にあった物語というか、その方々の手紙を実際にピックアップして追加されたシーンで、今回そのシーンが加わったことによって、よりリアルな物語が皆様に伝わるのではないかなと思っています。
――皆さまへ一言ずつメッセージをお願いします。
今まで舞鶴で行われてきたこの作品がついに東京でできるということで非常に嬉しく思っております。是非たくさんの方に伝わったら嬉しいなと思います。よろしくお願いします。

【INFO】
※佐久間大介のキャストインタビューは第二弾で特集
【公演概要】
朗読劇 READING WORLD ユネスコ世界記憶遺産 舞鶴への生還『約束の果て』(再演)
◆スタッフ
脚本:山下平祐/演出・映像:ヨリコジュン/オリジナル演出:松野太紀/音楽:大嶋吾郎
◆出演
2026 年 9 月28 日(月):緑川光、佐久間大介、中井和哉、佐倉綾音、下野紘、井上麻里奈
2026 年 9 月29 日(火):緑川光、佐久間大介、中井和哉、佐倉綾音、豊永利行、井上麻里奈
◆演奏
大嶋吾郎 (G,Sampler)/伊藤隆博 (Key)/GRACE (Dr , Per)/クラッシャー木村 (Vl)
海上自衛隊舞鶴音楽隊
◆公式サイト
【感想】
私自身、朗読を聴くこともすることも好きなので、日本を代表する声優の皆さまの貴重なお話が聞けてとても勉強になりました。キャストの方が朗読を通して、日本の歴史も知ることができるとおっしゃっていました。ただ物語を聴いて想像するだけでなくそこから新しい学びに繋げていくことができるのだなと、朗読劇などの芸術をもっと深めていきたいと思いました。

取材・文:宮脇眞子(東京藝術大学)
撮影:編集部





