大賞は永山祐子。赤木円香、小川久美子、公文和子、藤原加奈、山岡加菜、藤原加奈が登壇。未来を拓く働く女性たち「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2026」授賞式
- プロジェクト事務局 Scketto
- 12月7日
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「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」は、女性のキャリアとライフスタイルを支援する月刊誌『日経ウーマン』(日経BP発行)が1999年から毎年実施しているアワードである。

今年で27回目を迎え、社会や組織の中に埋もれがちな個人の業績に光を当て、働く女性のロールモデルを提示し、活躍した女性たちを通して時代の変化を捉えることを目的としている。2025年11月29日に東京ミッドタウンで開催された「WOMAN EXPO 2025 Winter」内にて表彰式が執り行われた。
リポート1本目は、授賞式、受賞者、審査員コメントなどをリポートします

主催者である日経BPの井口哲也社長は挨拶の中で、2025年が男女雇用機会均等法施行40年、女性活躍推進法制定10年、そして日本初の女性首相が誕生した年であることに触れ、本アワードの意義を強調されていました。

【大賞:永山 祐子さん】
有限会社永山祐子建築設計 取締役


永山さんは、2025年大阪・関西万博において、女性活躍をテーマとする「ウーマンズ パビリオン」の設計を手掛けた。その際、ドバイ万博日本館の資材を再利用する「循環型建築」という画期的な取り組みを実現した。これは、従来の「作っては壊す」万博建築のあり方に一石を投じるものであり、持続可能な社会構築への貢献が極めて高く評価された。


「生まれながらの挑戦者。建築の道に進んでなかったらエベレストに登っていたのでは」と受賞者を紹介した。

永山氏からは授賞式スピーチでは、自身の信念と行動原理が以下のように語られた。「万博というのは毎回場所を変えて新しい建築が作られ、それが壊されていくと。そんなぶつ切りの状態でいいのかなというような思いがありました。」 「やりたいことはなるべくすぐに口に出して周りの人に伝える。そうするとこう面白がってくれる人がいて、『やろうよ』と言ってくれる。そんなことをきっかけに、今まで無謀なことも実現できた。娘が活躍できる社会であるようにと願い、今回の賞を一つの応援としていただいたと思っております。」と語られた。
【赤木円香さん】
株式会社AgeWellJapan 代表取締役社長

ウェルビーイングを軸に、医療・介護ではない新たなシニア市場を開拓。企業・自治体を巻き込み急成長を遂げる。
シニアのウェルビーイング向上を軸に、新たなシニア市場を開拓。BtoB事業の売上高が開始1年で3倍に取引社数は260社超


「社会性の高い事業と営利事業としてよくできたビジネスモデルを両立させている。日本の起業家の中でもついにこういう人が出てきたか」


赤木さんは「祖母の『長く生きすぎちゃったかしら』という言葉が創業のきっかけ」日本は課題先進国と言われますが、いつか『エイジウェルな先進国』として、世界が憧れるような高齢社会のロールモデルとなれるよう頑張っていきたいと話す。
【小川久美子さん】
衣装デザイナー

邦画実写の歴史を塗り替えた大ヒット映画『国宝』の衣装デザインを担当。76歳にして第一線で活躍し、若手のロールモデルとなる。『セーラー服と機関銃』『キル・ビル』などもご担当された。



小川さんの特徴を挙げるとすれば2点、一つは、綿密に読み込んでリサーチを重ね、人物を深く洞察された上で、とにかく直感力がすごい。小川さんのひらめきによって救われたことがたくさんあります。もう一点は、とにかく底抜けに明るい。きつい現場で、みんなが疲弊する中、小川さんの笑顔と笑い。あの笑い声を聞くと非常に安心感を覚えて、現場全体を癒してくれる、そんな存在です。

小川さんは「映画衣装は私の好きなことがすべて詰まっている仕事。毎回新鮮な気持ちで続けてきたら今になっていた。これからも楽しくて、面白くて、でも苦しい、そんなクリエイティブの現場の魅力を知ってほしい」と今後の抱負を語った。
【公文和子さん】
シロアムの園 代表、小児科医

福祉が乏しいケニアで障がい児支援施設「シロアムの園」を運営。療育・医療・教育・就労支援を10年にわたり続ける。2015年にケニアで施設を創設し、孤立しがちな障がい児とその家族を包括的に支援された。

公文氏:「私の大切な友達(障がいを持つ子供たち)の存在を届ける機会として受け取っている。社会には、知られていないというそれだけの理由で尊厳を守られていない人たちがたくさんいる。誰もが社会の中で大きな存在であることを多くの人に知ってほしい。今日の受賞は、社会の中で小さくされてきたたくさんの命が、私に与えてくれたもの」と話された。

「日本だって大変なのにケニアでやるなんて。笑顔の裏にどれだけのご苦労があったか」と活動に対しての敬意を述べた。
【藤原加奈さん】
株式会社フジワラテクノアート 代表取締役副社長

90年以上の歴史を持つ清酒・しょうゆの醸造機械メーカーで人事制度を刷新で5人の中途採用枠に800人が殺到。女性社員が6倍に増加し、新卒3年未満の離職率0を達成。「選ばれる地方企業」へと進化させた。
藤原さんは「いろんな運命が重なって事業承継をすることになり、改革当初は非常に苦労をしました。子育ての経験からアイデアが生まれた。地方ならではの働き方の幸せを追求し、地域社会や女性の事業承継の未来に貢献したい」と述べた。

左~審査員及川 美紀氏(Toget-HER 代表理事)がプレゼンター
「『地方いけるじゃん』というのが審査員の一致した意見。経営の素人たちが人的資本経営を実践した」
【山岡加菜さん】
キリンビール マーケティング部「氷結」アシスタントブランドマネージャー

廃棄となる規格外果実を活用した「氷結mottainai」企画を主導。第1弾は目標比150%超の約27万箱を出荷(目標比150%超)しヒットに導く。計86tのフードロス削減に貢献し、社会貢献とビジネスを両立。


山岡さんは「『もったいないを美味しいに変える』新しいチャレンジだった。『社会課題とビジネスの両立はできない』という厳しい言葉もあったが大企業の中でも、好きなことに挑戦していいんだよ、と背中を押してもらえたように感じています」と感想を語った。

「大企業の若手で社会課題とビジネスを結びつけ、結果を出している。三方よしを実現した」と受賞の紹介をした。
【若月貴子さん】
クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン株式会社 代表取締役社長

大量閉店の危機からV字回復を主導し、人事制度刷新と店舗改革でドーナツブランドを復活させた飲食業再生のリーダー。2024年12月期の売上高は過去最高となる見込み、約10年かけてブランドの立て直しに成功。

若月さんは『日本のCEOはold menがdominateしている。その中で君はどうやってsurviveしているんだ?』と質問されたことがあります。この受賞はキャリアの道中であり、まだまだ頑張りなさいという叱咤激励と受け止めている。日本は、これから女性の活躍はさらに広がっていくはずです。」と語った。


「撤退する外資系が多い中、V字回復させた。経営に全く穴がない」と受賞理由を紹介した。
【メッセージ】

働く女性が社会に与えるインパクトと未来を信じて一歩を踏み出す勇気が必要。自らを信じることの重要性について言及し、全員を激励し、賞賛が述べられた。
【INFO】

リポート2本目では、審査員、受賞者によるトークショーをリポートする。
【感想】

今回の「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2026」の授賞式は、進路に悩む私にとって、まさに未来を照らす「道しるべ」となりました。最も感銘を受けたのは、受賞者の方々が性別や既存の業界の枠に一切とらわれず、新しい価値を自らの手で切り開いていることです。大賞の永山祐子氏が、「作っては壊す」万博建築のあり方に一石を投じる「循環型建築」を実現されたように、「やりたいことはすぐに口に出す」という信念こそが、常識を覆す力になるのだと学びました。
また、映画『国宝』は今年最も私が心を奪われた映画作品で、今回授賞式でも展示されていた華やかな着物や、その衣装が生み出す深いリアリティに特に感銘を受けていました。そのデザイナーである小川久美子氏が、76歳にして今なお第一線で活躍し、若手のロールモデルとなっている姿を拝見できたことに感動しました。小川氏の「映画衣装は私の好きなことがすべて詰まっている仕事。毎回新鮮な気持ちで続けてきたら今になっていた」という言葉は、まさに進路に悩む私にとって光でした。仕事とは義務ではなく、自分の好きなこと、情熱を傾けられるものをとことん追求した結果、キャリアが自然と形作られていくのだと教えていただきました。
他にも、キリンビールの山岡加菜氏が「もったいない」を「美味しい」に変え、社会貢献とビジネスを両立させたように、社会課題は成長の機会であり、情熱とアイデア次第で解決できると強く感じました。そして、クリスピー・クリーム・ドーナツをV字回復させた若月貴子氏の「崖っぷちは楽しい。降りてみた方が新しい世界が広がる」という言葉 は、未来への不安を打ち消し、「挑戦を楽しむマインド」の重要性を教えてくれました。
受賞者の皆様から大いなる刺激をいただきました。困難を恐れずに新しい一歩を踏み出し、自分の進むべき道を切り開いていけるようなチャレンジ精神を磨き上げていきたいと、強く感じました。
取材・文:伊藤梨菜(慶応義塾大学)
撮影:編集部、一部公式写真使用







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