北川景子と吉沢亮が語る挑戦の一年。「ELLE CINEMA AWARDS 2025」授賞式(写真20枚 )
- プロジェクト事務局 Scketto
- 4 日前
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2025年12月10日、東京・有楽町にて『ELLE CINEMA AWARDS 2025』授賞式が開催され、北川景子さん、吉沢亮さん、出口夏希さん、木戸大聖さんをはじめとする受賞者たちが登壇した。
リポート2本目は、北川景子さん、吉沢亮さんの授賞式とトークショーをご紹介。
【受賞者一覧】

左から
ELLE 坂井佳奈子編集局長
ベストディレクター賞 塚本あゆ子さん
ライジングスター賞 出口夏希さん
ベストアクトレス賞 北川景子さん
エルメン賞 吉沢亮さん
ライジングスター賞 木戸大聖さん
話題賞 村田千恵子さん
【北川景子】
ベストアクトレス賞を受賞したのは、北川景子さん。今年最も輝いた俳優に贈られる「エルベストアクトレス賞」は、映画『ナイトフラワー』での演技が高く評価され、彼女に授与された。

本作で北川さんは、愛する子どもたちのために危険な犯罪に手を染めてしまう母親という、現代のシングルマザーが置かれた過酷な状況を体現。これまでのイメージを覆す迫真の演技で、俳優としての新境地を切り拓いた。

トロフィーを手にした北川さんは、「デビューして22年になりますが、主演の映画賞をいただくのは初めてです。本当に嬉しく、今このトロフィーの重みをずっしりと感じています」と喜びを語り、作品を共につくり上げた内田監督とスタッフへの感謝の思いを述べた。

また、本作について「オファーをいただいたとき、相当な覚悟が必要な役だと感じました。これまでの経験や自信を一度すべて手放し、魂で全身全霊ぶつかっていこうと思いました」と振り返り、「完成した作品を見て、その思いが少しでもスクリーンに残り、皆さんに伝わっていたなら頑張ってよかったと思います」と語った。


現在は連続テレビ小説『バケバケ』でも母親役を演じる北川さん。俳優としての転機について問われると、「若い頃は完全無欠な役が多かったのですが、幅広い役に挑戦したいともがいてきました。子どもを授かってから、さまざまな母親役をいただくようになり、人間としても母としても、そして役者としても成長している段階だと感じています」と率直な心境を明かした。


最後に、来年に向けての抱負として、「重たい役が続いているので、そろそろ幸せな役や楽しい役にも挑戦したい」と微笑みながら語り、「健康を大切にしながら、家庭と仕事のバランスを保ち、充実した一年にしたい」と締めくくった。
【吉沢亮】
今年目覚ましい活躍をした男性に送られるエルメン賞を受賞したのは、吉沢亮さん。

今年、日本中を熱狂させた映画『国宝』での圧倒的な存在感と表現力が評価され、吉沢亮さんがエルメン賞に輝いた。本作で吉沢さんは、名門の血を引かぬ身でありながら歌舞伎の世界へ飛び込み、葛藤ともがきを繰り返しながら“国宝”を目指す歌舞伎役者の人生を体現。内面の揺らぎや本心までも繊細に映し出す演技で、多くの観客の心を強く掴んだ。

トロフィーを受け取った吉沢さんは、「このような栄誉ある賞をいただき、誠に光栄です」と喜びを語り、「長十郎という役に呼んでいただき、この場に立てたことを大変嬉しく思います」と作品への思いをにじませた。作品を振り返り、「一年半にわたる歌舞伎の稽古があり、かけてきた時間や情熱の量が、これまでとは段違いの作品でした」と明かし、「そのすべてを注いだ作品が、多くの方に観ていただき、愛していただけたことは、自分の中でも非常に特別な経験になりました」と語った。

司会者からの感想に対しても、会場からは大きな共感の声が寄せられ、改めて作品の完成度と影響力の大きさがうかがえた。

また、2026年に向けての展望については、「来年はミュージカルなど新たな挑戦が控えています」と述べ、「変わらず挑戦の年として、一つ一つの作品に向き合っていきたい」と力強く抱負を語った。挑戦を恐れず、表現の幅を広げ続ける吉沢亮さん。その歩みは、来年も多くの観客を魅了し続けるに違いない。


【トークショー】


各賞受賞者がステージに集い、授賞式後にはトークショーが行われた。一年を振り返りながら、作品への思いや俳優としての現在地、そして互いへのリスペクトを語る、貴重な時間となった。会場には終始和やかな空気が流れつつも、それぞれの言葉からは、映画と真摯に向き合ってきた一年の重みがにじみ出ていた。


北川景子さんは、2025年を「芝居で非常に充実していた一年」と振り返った。今年は母親役を多く演じる機会が続き、役柄を通して“母と子の関係”について改めて考える時間が多かったという。印象的なエピソードとして、出演中の連続テレビ小説『バケバケ』のあるシーンを娘と一緒に観た際の出来事を明かした。劇中で困窮する母親の姿を見た娘から「ママ、そんなにお金がなかったの?」と問いかけられたという。「本当のことだと勘違いするほど、芝居として伝わったのだと感じて、嬉しさと同時に複雑な気持ちにもなりました」と語り、俳優としての表現が身近な存在にまで届いた実感をにじませた。

吉沢亮さんは、映画『国宝』を通じた経験を、今年最も印象深い出来事として挙げた。カンヌ国際映画祭での上映、さらにロサンゼルスやニューヨークでのプロモーションを通し、「日本の伝統芸能を描いた作品が、海外の方々に深いところまで届いていることを強く感じた」と語る。「文化や言葉の壁を越えて、ものすごく熱いメッセージを投げかけてくださる。その瞬間に、映画は世界の壁を越えていくものなのだと実感しました」と述べ、観客との直接的な反応が大きな励みになったことを明かした。また、『バケバケ』での挑戦については、英語のセリフが非常に多い点を挙げつつも、それ以上に「明治という時代の転換期を生きる人間の立ち位置」をどう表現するかに悩み続けているという。過去に大河ドラマで時代の変化を“楽しむ側”の人物を演じた経験を踏まえ、「今回は流れに翻弄される側の人間をどう演じるかを意識している」と語り、現在進行形の葛藤を率直に明かした。

互いの演技について問われると、北川さんは吉沢さんの切り替えの巧みさや、英語のセリフ量を感じさせない現場での佇まいに言及。「お芝居だけでなく、現場での居方も含めて、とても学ぶことが多い」と語った。
一方、吉沢さんは「北川さんの登場するシーンは、一気に作品に重厚感が生まれる」と述べ、作品全体を引き締める存在感に強い敬意を示した。また、現場でのフランクなコミュニケーションにも感謝を述べ、「自分から話しかけるのが得意ではないので、本当にありがたい」と語り、会場を和ませた。
【INFO】

1本目は、ライジングスター賞「出口夏希さん」「木戸大聖さん」、ベストディレクター賞「塚本あゆ子さん」、話題賞「村田千恵子さん」の受賞をご紹介。

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【感想】
出口夏希さんや木戸大聖さんをはじめ、今回受賞された皆さんは映画はもちろんさまざまな分野で活躍されている方ばかりだったので、このような大きな受賞式に取材で参加させていただけたことを非常に嬉しく思います。受賞式中も受賞者の方々の細やかな気遣いや周囲への感謝が感じ取られ、この受賞式を通して更に応援したくなる方々ばかりでした。今年を締めくくるのにふさわしい素晴らしい受賞式を自分の目で見ることができて貴重な経験をさせていただきました。(山本心稀)

取材・文:山本心稀(上智大学・左)、石井百香(早稲田大学・右)
撮影:編集部





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