「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2025」受賞者、審査員トークショー
- プロジェクト事務局 Scketto
- 12月7日
- 読了時間: 6分

女性のキャリアとライフスタイルを応援する月刊誌『日経ウーマン』が、その年に各界で目覚ましい活躍を遂げた女性を表彰するアワード「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」が今年で27回目を開催し、リポート2本目は、2部に分かれての審査員と受賞者によるトークショーをリポートします。
<<受賞者一覧>>

【大賞】
永山祐子さん/永山祐子建築設計 取締役
【受賞】
赤木円香さん/AgeWellJapan 代表取締役社長
小川久美子さん/衣装デザイナー
公文和子さん/シロアムの園 代表
藤原加奈さん/フジワラテクノアート 代表取締役副社長
山岡加菜さん/キリンビール マーケティング部「氷結」アシスタントブランドマネージャー
若月貴子さん/クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン 代表取締役社長
【審査員】(50音順)
入山章栄さん(早稲田大学ビジネススクール 教授)
及川 美紀氏さん(Toget-HER 代表理事)
佐々木 明子さん(テレビ東京 コンテンツ戦略局フェロー)
パトリック・ハーランさん(タレント)
授賞式、受賞者の紹介はリポート1本目で紹介しました。
【トークセッション1部】

「情熱を持ち、挑戦を楽しむ生き方」では、受賞者の赤木さん、山岡さん、公文さん、山岡さんと審査員の入山さん、佐々木さんが登壇。
このトークセッションでは、受賞者がどのように情熱を持って仕事に取り組み、数々の壁を超えてこられたのか、そして、前向きに挑戦を続ける秘訣を語った。

赤木さんは、事業をローンチして2週間でコロナの緊急事態宣言が出て不安を感じていた際、「絶対大丈夫。戦後を考えなさい」とシニア世代の会員からの言葉に励まされたとのこと。また、証券会社でお勤めだった80代の女性会員からは、「あなたの会社はSonyになる可能性を感じている」と背中を押ししていただけたことから、頑張れていると語った。
赤木さんのビジネスと社会課題の解決を両立している事業について入山さんは、「SonyとPanasonicと日立製作所を合わせたような会社になる」と評した。
小川さんは、長年仕事を続けられた秘訣について、「自分自身の上限を作らない。自分を信じて続けること」と語った。
入山さんは小川さんに対し、「本当はもっと早く受賞していい人材」と驚きを見せた。また、小川さんから提出されたライブチャートが40代から上がり続けている様子を見て、「楽しくなるのは積み重ねて、それが思い通りにできるようになる実力をつけることが大切」と佐々木さんがまとめた。

山岡さんは、1番大変だったこととして、捨ててしまうものを調達し、商品に使うという新しいスキームを社内に取り入れることを挙げた。そして勝因はワークショップを続けたり、周囲に相談することで、やりたいことに対する仲間を増やせたことだと語った。
また、大企業の中で周囲を巻き込みながら業務を諦めずに進めたことと、そして事業としての利益を出すという結果を伴せながらエシカル消費が実現できていることに対して、入山さんと佐々木さんは高い評価を述べた。
公文さんは、これまでの経験を通し、「自分は強くなくて信念持たなくていいと肩の力を抜き、そのままの気持ちでいいと思えた時に力をもらえた」と独自の価値観を語った。
最後に、赤木さんから小川に対して、男社会で生き抜く乗り越え方について質問があった。小川さんは、「嫌なことに気持ちが引きずられたことはない。嫌なことはどこにでもあるから、嫌なことに心を動かさないようにしていた」と助言を行った。

【トークセッション2部】

続いて、トークセッション2部「女性活躍の道を切り開くヒント」では、受賞者の永山さん、藤原さん、若月さんと審査員の及川さん、パトリックさんが語った。

永山さんは26歳で独立を果たし苦労した点として、納期や条件が厳しいこと、予算が少ないことを挙げた。そして、挑戦を始める前の気持ちについては、「やろうと思ったときにはチャレンジとは感じていない。きっかけは苦労を前提とせず、インスピレーションでやってみたいと思うところから始まる。そして、挑戦してみてやっぱり大変だったと感じる経験がある」と会場を唸らせた。また、コミュニケーションについての心掛けとして、クライアントと密に話をすることが挙げられた。しかし、話を聞きすぎてしまうと制限されてしまうため、クライアントが最初に気づいていないことを引き出し、建築で返すことが大切と語る。


藤原さんは、ライフとキャリアの両立を行うための職人や男性社員の意識改革が難しかったと語る。人事制度を変更する際には、現代に求められる人材とは何かを考えた結果、男女がリスペクトし合える環境を整えられたとのこと。
及川さんは、昇進・昇格の方法や新しいスキルの取得方法について、長時間労働が前提でないとこれらを得られないという風潮に異を唱えた。ワークライフバランスとキャリアの両立については、インクルーシブな組織づくりが不可欠だと藤原さんの取り組みを高く評価した。
若月さんは、「崖っぷち」という考え方について、「自分の見方次第で崖は大きくも小さくも見える。崖にいる状況は楽しいことだ」と語り、会場の笑いを誘った。



【ウーマン・オブ・ザ・イヤー】
1)働く女性のロールモデルを提示
働く女性の多くが、身近に目標となる先輩を見いだせないという悩みを抱いている。そこで、各分野で活躍する女性たちを紹介することで、働く女性のロールモデルを提示する。
2)組織の中に埋もれがちな個人の業績に光を当てる、人材発掘型の企画
組織の中で埋もれがちな個人の業績に光を当て、新しい人材を発掘する。会社の看板に頼ることなく、個人の力を磨いてキャリア設計をする女性を紹介することで、21世紀型の仕事スタイルを探っていく。
3)働く女性の「今年」と「これから」を映し出し、時代の変化の矛先を捉える
働く女性の「今年」と「これから」を鏡のように映し出す企画でもある。その年に活躍した女性たちを通して、時代の変化の兆しを捉えていく。
<審査方法>
4つの評価基準で採点。4人の審査員と編集部の総合得点で決定。
① 新規性 :着点の新しさ。イノベーションを起こし、新しい価値観を提示・実現したか。
② 成功度:今年のビジネスの業績。社会への貢献度。
③ 社会へのインパクト:社会に多くの影響を与え、その発展・改革につなげたか。人々の心を豊かにしたか。
④ロールモデル性:自ら切り開いたキャリアの道筋が、読者にとってモデルとなるか。

【感想】
女性のキャリアについて深く考えるきっかけになりました。様々な業界の分野で結果を出してこられた偉大な受賞者の方々のお話には、共通して「どんなに大変な状況であっても、今いる自分の状況を前向きに、ポジティブに捉えながら、楽しみながら前に進み続ける」というマインドが感じられました。また、結果を出すには独りよがりの頑張りではなく、周囲との関係構築を行い、皆で力を合わせることが大切だと改めて実感しました。
自身で道を切り開いてきた方々のお話の言葉を聞くことで、自身の夢を叶えるためのモチベーションが向上し、「崖っぷち」を楽しみながらも頑張ろうと考えさせていただける素敵な取材でした

取材・文:南菜々子
撮影:編集部




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