ミュージカル「サムシング・ロッテン」再演 福田組が生み出す笑いと魅力あふれる舞台へ!楽曲披露取材会・囲み取材レポート(写真10枚)
- プロジェクト事務局 Scketto
- 1 日前
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更新日:7 時間前

2018年に東京・大阪で上演され、観客を笑いの渦に巻き込んだミュージカル『サムシング・ロッテン!』が、福田雄一演出で2025年に待望の再演を迎える。ブロードウェイで2015年に初演され、トニー賞1部門受賞・9部門ノミネートを果たした本作は、シェイクスピアや名作ミュージカルのパロディをちりばめ、舞台への愛情あふれるコメディ作品として、世界中の舞台ファンを魅了してきた。

再演版では、2018年から継続出演の中川晃教、瀬奈じゅんに加え、新たに加藤和樹、石川禅、大東立樹(CLASS SEVEN)、矢吹奈子ら豪華キャストが集結。さらにパワーアップした舞台で、観客に笑いと感動を届ける。
そんな話題作の再演に先立ち、都内で楽曲披露会と囲み取材が行われた。今回のレポートでは、女子大生二人が、楽曲の魅力や作品の面白さ、キャスト同士のやり取り、そして福田組ならではの温かい空気感を、現場の熱量そのままに伝えていく。
【あらすじ】
ルネサンス時代のイギリス。売れない劇作家ニック(中川晃教)と弟ナイジェル(大東立樹)の劇団は、人気劇作家シェイクスピア(加藤和樹)に押され気味。ニックはシェイクスピアに対抗するため、妻ビー(瀬奈じゅん)に内緒で予言者ノストラダムス(石川禅)を頼り、「世界初のミュージカル作り」に挑む。しかし示されたヒット作のタイトルは「オムレット」(本当は「ハムレット」の間違い)で、ニックはミュージカル化に苦戦する。
一方、作家の才能を持つナイジェルは「卵の物語なんて書きたくない」と苦悩しつつ、清教徒の娘ポーシャ(矢吹奈子)に恋をして新たな創作意欲を得る。その裏で、次の大ヒットを求めるシェイクスピア(加藤和樹)はナイジェルの才能を狙い、「トービーベルチ」と名乗って劇団に潜入し、後に「ハムレット」となるアイデアを盗んでいくが…
【楽曲披露取材会】
出演者全員が息の合ったダンスをみせ、本作ならではのコメディ感を高い歌唱力でも体現。観客の心を一気につかむ圧巻のパフォーマンスだった。


あらゆる大人気ミュージカルのフレーズが出てくるナンバー。石川の「みんな行くぞぉ〜!!」の掛け声を合図に音楽が開始。軽快なタップダンスやラインダンスでミュージカルの素晴らしさを存分にアピールしていた。

明るい未来が見え、トップに立つことを確信した中川演じるニック·ボトムが歌う1幕のラストナンバー。歌の途中で金管楽器が登場したり、ここでもタップダンスが出てきたりと、これからの希望に満ち溢れている感情がいっぱいに表現されていた。


この時代の大スターである加藤演じるシェイクスピア。朗読会で、彼がまるでロックスターのように歌う曲だ。今回発表された他の楽曲と比べて、この曲は舞台セットを大きく使用。舞台に乗り上がりそうなくらい熱狂的なファンの期待に応えるシェイクスピア、コールアンドレスポンスをすごく感じられた曲で、終始黄色い歓声があがっていた。加藤和樹さんの甘いフェイスが存分に生かされている場面だった。

美しい清教徒の娘ポーシャとニックの弟で作家のナイジェルは恋に落ちる。だが、厳格なポーシャの父親(ジェレマイア)は交際に大反対。ポーシャはナイジェルに心からの言葉を聞かせるようにと伝える歌。
ポーシャとナイジェル、2人のデュエットから始まる。ポーシャがナイジェルを前向きな言葉で励ましていると父親のナイジェルが入ってきて、甘い空気が一変。コメディミュージカルらしいドタバタ劇が展開!キャラクターの個性が溢れる場面だった。
【会見】
楽曲披露取材会の後には囲み取材も実施され、演出の福田雄一をはじめ、主要キャスト、アンサンブルメンバーらが一堂に会した。各キャストが役柄や稽古の手応え、作品の魅力を語るなか、福田組ならではの笑いと温かい空気が終始漂い、会場は期待感に包まれた。

(左から福田雄一、大東立樹(CLASS SEVEN)、加藤和樹、中川晃教、石川禅、矢吹奈子)
■中川晃教「再演をずっと待っていた」

「福田さんに会うたび、『サムシング・ロッテン!』をもう一度やりたいと話していた。今日こうして再び動き出せる喜びに浸っている」と目を細める。

福田も中川について、「ミュージカル界の宝なのに、実は案外ポンコツ。でも、その自由さや好き勝手やる面白さが、舞台をより楽しくしてくれる」と笑いながら語り、長年の信頼関係がそのまま会話のテンポに表れていた。
今回「福田組デビュー」となる加藤和樹は、稽古初日から驚きの連続だったという。
「ダンスや歌のレベルが全員高くて、進むスピードも早い」と加藤が話すと、福田も笑いながらコメント。「まず完璧に仕上げて、それからふざける時間にするんだろうな」と話し、会場も笑いに包まれた。加藤も「僕も早くその境地に行きたい」と笑顔で応じていた。
さらに福田は、加藤をシェイクスピア役に起用した理由について明かす。
「1幕では嫌われるけど、2幕で一気に愛される。そのギャップを出せるのは彼しかいない」と即決だったことを語った。
■福田雄一「新キャストで構造がより明快に。初見の人も絶対楽しめる」

今回の再演では、中川晃教、瀬奈じゅん以外を大幅に入れ替えた新体制となった。
「初演とはまるで別作品になった。物語の骨格がより分かりやすくなり、ミュージカルを知らない人でも楽しめる。バカみたいにシンプルなお話に仕上がっている」と福田は自信を見せる。さらに、キャストへの信頼も熱く語った。石川禅については「笑いの間の取り方が絶妙」矢吹奈子は「10年越しのベストキャスティング」と述べたほか、大東立樹(CLASS SEVEN)については、福田氏が温かい思い出とともに紹介した。

「ピーターパンでマイケル役をやっていた頃から知っていて、兄のジョン役がうちの息子(福田響志)だった。当時から本当に可愛くて、今も可愛さは変わらない。今回の役にもぴったり」こうしたやり取りに、会場は笑いと温かい雰囲気に包まれ、福田組ならではの柔らかな空気が感じられた。
■年末年始だからこそ届けたい『笑い』
ミュージカルファンが楽しめる仕掛けについて、共演するアンサンブルは「引用やオマージュがとにかく多い。全部見つけるのも楽しいし、SNSで答え合わせも盛り上がると思います」と語った。
また、12月〜1月という繁忙期の上演について中川は、「忙しい時期だからこそ、舞台のエネルギーで笑ってもらえる時間が必要。見たことある方もない方も、ミュージカル好きの方もそうでない方も、『なんだこの世界は!』と楽しめるはず。福田さんのマジックを浴びて、思いきり笑ってほしい」とコメントし、観客に向けた期待感を高めた。
■福田組、再び始動
囲み取材の会場は終始にぎやかで、自然なツッコミと笑いが絶えなかった。
その空気こそが福田雄一作品の源泉であり、『サムシング・ロッテン!』再演の最大の魅力である。
新キャストを迎えた「進化したロッテン!」がどんな化学反応を見せるのか。
稽古場で生まれつつある熱量からは、観客の期待がさらに膨らむばかりだ。
【INFO】
【感想】
稽古場に足を踏み入れた瞬間、タップの音が部屋中に響き、練習に打ち込む皆さんの姿を目の当たりにして自然と背筋が伸びました。楽曲披露では生の熱量に圧倒され、息遣いや緊張感まで感じ、思わず鳥肌が立ちました。大好きな舞台俳優の方々が間近にいて、その存在感に胸が高鳴りましたし、気づけば、福田監督のいるテーブルの足元に座っており、驚きとともに貴重な体験をしているのだなと身をもって実感しました。会見では、会場全体に漂う笑いと熱気、そしてキャストの情熱に触れ、舞台への期待がさらに膨らむ、かけがえのない時間でした。(五百旗頭優里)
ミュージカルのお稽古場を生で拝見する機会はなかなかないので、とても勉強になりました。マイクがなくても声量があって迫力を出せること、小道具が無くても見えるように演技をされること、激しい踊りでも疲れている様子を見せないで最後まで踊りきられるところにすごくプロ意識を感じられました。大学の授業でちょうどシェイクスピアの演劇を学んでいるので、物語の設定などが興味深かったです。曲が始まる前と後のリアルな空気感や、いつも映像で見ていた、お稽古場で使われる本格的な舞台セットにもとても感動しました。
ミュージカル女優になりたいという目標があるので、「全てにおいて100倍以上頑張らなければ」と奮い立たせられました。「サムシング·ロッテン!」ぜひ劇場で観劇したいと思います!!貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。(宮脇眞子)
取材・文;五百旗頭優里(上智大学・左)、宮脇眞子(東京藝術大学・右)





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