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音楽座ミュージカル『リトルプリンス』———愛され続ける出会いと別れの物語、観劇リポート!

更新日:6月16日

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【ミュージカル『リトルプリンス』とは?】

サン=テグジュペリ原作の不朽の名作『星の王子さま』。その舞台化作品として長年にわたり多くの観客を魅了してきたのが、音楽座ミュージカルによる『リトルプリンス』だ。1993年の初演以来、読売演劇大賞をはじめ数々の演劇賞を受賞してきた本作が、2025年も再び幕を開けた。

東京公演(6月6日~15日/草月ホール)、大阪公演(7月20日・21日/梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)を皮切りに、秋には愛知・東京・広島での公演も決定。本作の魅力を、観劇リポートとともに写真たっぷりでお届けしたい。

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【あらすじ】

ある霧の深い夜、夜間飛行に飛び立った飛行士は、エンジンの故障で砂漠の真ん中に不時着した。その砂漠で、飛行士は星から来たという不思議な少年(星の王子)と出会う。

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「羊の絵を描いてほしい」としつこく迫る王子に辟易する飛行士だったが、スケッチブックに描いた「象を呑み込んだウワバミ」の絵を言い当てられたことをきっかけに、次第に心を開いていく。

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飛行士に、自分が住んでいた小さな星や、そこを飛び出すきっかけになった花のことなどを話す王子。

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飛行士は王子の体験を自分に重ね、深く受け止めていくのだった。

 

【作品の背景】

1993年初演。音楽座ミュージカル『リトルプリンス』は、物語誕生から80年以上人々を惹きつけてやまないサン=テグジュペリの原作に忠実でありながら、ミュージカルならではの芸術的な解釈を加えた独創的な作品だ。

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『星の王子さま』は作家であり飛行士でもあったサン=テグジュペリの人生に発想を得て誕生した。別の星から地球にやってきた王子に彼の夭折した弟フランソワを、王子が故郷の星に残してきたバラの花に彼の妻コンスエロの姿を重ねている。

 

【会場の様子】

草月ホールの会場に入ると、王子役のお二人(右:森彩香 左:山西菜音)のパネルとポスターがお出迎え。

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筆者が訪れた6月7日マチネ公演も開場前から列ができ、作品の根強い人気がうかがえた。

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この日の出演者の皆さま。キャスト表を写真に収める観客でパネル前は賑わっていた。

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終演後のイベントとして高校生による吹奏楽コンサートを開催。毎回変わるアフターイベントも音楽座ミュージカルの楽しみのひとつだ。“その日限り”の特別な時間が劇場を包み込む。

 

【注目のシーン紹介】

音楽座『リトルプリンス』の真髄は、なんといっても楽曲の力。歌詞と音楽が『星の王子さま』の世界を繊細かつ力強く表現しており、心に語りかけるような旋律が舞台を豊かに彩る。ぜひ、音楽の響きと真っ直ぐな歌声に身を委ねてほしい。

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王子が出会う一輪の美しい花。彼女の存在が物語全体の軸となり、王子の心の成長を象徴的に描く。

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花のわがままに耐えかねた王子は、渡り鳥とともに他の星へと旅立つ決意をする。

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旅に出て王子が最初に訪れるのは王様の星。その後も王子は様々な星に降り立ち、実業家や呑み助、うぬぼれ屋など個性豊かな“大人”たちに出会っていく。

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ここで登場する“大人“たちは、現代社会に通じる風刺としても見どころ。

それぞれの“大人”に対して、王子は何を思うのだろうか。“大人”について考え直すきっかけを与えてくれるシーンだ。

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舞台上で繰り広げられる身体表現や幻想的な演出では、まさに音楽座ならではのクオリティが光る。

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王子が最後にやってきた星は、地球。しかし、そこに自分の星にいたバラとそっくりな花がたくさんいることに衝撃を受け、打ちのめされる。

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そんな王子はキツネと出会う。王子はキツネとの出会いにより「飼いならす」ことの意味を学び、「自分の花は世界でただ一つの存在」だと気づくのであった。別れの場面でキツネが告げる「肝心なものは目に見えない」というメッセージは観る者の心に残ることだろう。

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砂漠を歩き続け、漸く井戸を見つけることができた王子と飛行士。同じ時を過ごすなかで、お互いが大切な存在になっていく二人。ラストシーンに繋がる王子の覚悟と、飛行士の愛が観客の心に訴えかけていく。

 

【今後もとまらない『リトルプリンス』の勢い】

6月・7月の東京・大阪公演の勢いをそのままに、音楽座ミュージカル『リトルプリンス』は秋公演へと続いていく。10月には愛知、11月には東京、広島でも公演が決定している。音楽座メイト第一次先行は6月21日(土)〜6月25日(水)、音楽座メイト第二次先行は7月5日(土)〜7月9日(水)、一般販売は7月26日(土)から始まる。

 

<名古屋公演>

Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

10月2日(木) 13:00〈貸切〉、10月3日(金) 13:00〈貸切〉 / 18:30

料金:SP席 13,200円、SS席 11,000円、S席 9,900円、A席 6,600円

 

<東京公演>

IMM THEATER

11月14日(金)19:00、11月15日(土)12:00(中高生によるダンスイベント) / 17:00(SNF)、11月16日(日)13:00

料金:SP席 15,400円、SS席 13,200円、S席 12,100円、A席 7,700円、U-25席 1,100円

 

<広島公演>

はつかいち文化ホール ウッドワンさくらぴあ 大ホール

11月29日(土)11:00 / 16:00(吹奏楽コンサート)

料金:SS席 11,000円、S席 9,900円、A席 6,600円

共催:(公財)廿日市市芸術文化振興事業団(広島公演)

後援:廿日市市・廿日市市教育委員会・廿日市商工会議所(広島公演)

 

【『リトルプリンス』受賞歴】

平成五年度文化庁芸術祭賞『リトルプリンス』

第三回読売演劇大賞優秀女優賞『星の王子さま』

第三回読売演劇大賞優秀スタッフ賞『星の王子さま』

第六回読売演劇大賞優秀スタッフ賞『星の王子さま’98』

第26回日本照明家協会賞舞台部門優秀賞『リトルプリンス』

東京芸術劇場 ミュージカル月間優秀賞『リトルプリンス』

 

【出演者】

森彩香、山西菜音、安中淳也、岡崎かのん、泉陸、小林啓也、上田亮、毎原遥、酒井紫音 他

 

【制作】

作:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』

脚本・演出:相川タロー・ワームホールプロジェクト

音楽:高田 浩・金子浩介・山口琇也

振付:KAORIalive

美術:久保田悠人

衣裳:朝倉 摂・原 まさみ

ヘアメイク:川村和枝

照明:渡邉雄太

音楽監督:高田 浩

音響:小幡 亨

歌唱指導:桑原英明

メインビジュアル:ニコラ・ド・クレシー

ロゴデザイン:高橋信雅

オリジナルプロダクション

総指揮:相川レイ子

脚本・演出:ワームホールプロジェクト

音楽:高田 浩・金子浩介・山口琇也

撮影:二階堂健

製作著作:ヒューマンデザイン

 

【音楽座ミュージカル】

1987年の旗揚げから現在に至るまで、一貫したテーマのオリジナルミュージカルを創り続けている。それぞれの作品は「生きる」ことの根源を問いかける精神性とオリジナリティを高く評価され、文化庁芸術祭賞、紀伊國屋演劇賞、読売演劇大賞など多くの演劇賞を受賞している。

音楽座ミュージカル公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@ONGAKUZA

音楽座ミュージカル公式サイト:https://www.ongakuza-musical.com 

 

【感想】

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原作のサン=テグジュペリ『星の王子さま』は、小学生の頃から大好きな作品です。

今回観劇した音楽座ミュージカル『リトルプリンス』は、その世界観を華やかに、そして温かく真っ直ぐに描いており、音楽座ならではの豊かな表現力と舞台美術に引き込まれました。小説を読んだ時とは異なる視点から物語を捉えることができたり、新たな感情が芽生えたりしたのも、とても興味深かったです。学生という、子どもと大人の狭間にいる今だからこそ感じられることも多く、改めてこの作品の奥深さに気づかされました。高校生の頃から通学中によく聴いていた楽曲を、舞台で実際に体感できたことも、大きな喜びでした。出演者の皆さんの歌声はどれも素晴らしかったです。さらに終演後には吹奏楽コンサートもあり、最後の最後まで作品の世界に浸ることができました。素敵な時間をありがとうございました。(東京藝術大学 漆間虹美)

 
 
 

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