俳優・仲 万美プロデュース舞台「選んだキャストは仲 万美を喰える人」─中屋敷法仁との初タッグで挑む、「女郎蜘蛛」で描く“毒婦”たちの姿
- プロジェクト事務局 Scketto
- 1月15日
- 読了時間: 9分
更新日:2 日前

2026年2月19日(木)〜2月23日(月・祝)に、俳優・仲 万美がプロデューサー兼主演を務める舞台「女郎蜘蛛」が上演される。品川プリンスホテル クラブeXのステージを存分に活かし、歌ありダンスあり、出演者は“オールフィメール”という意欲作だ。脚本と演出を手掛けるのは、劇団『柿喰う客』主宰の中屋敷法仁。日本犯罪史・文学史に名を刻む“毒婦”たちの姿を、濃密に書き上げた。

「人間が好きなんです」と語る仲は、稽古真っ只中の稽古場にて、よく笑い、よく言葉を紡いでくれた。彼女はこの「女郎蜘蛛」に何を託そうとしているのか。全身全霊で挑む舞台への想いをうかがった。
【プロフィール】
仲 万美(なか・ばんび)
1992年6月15日、熊本県生まれ。2014年末の紅白歌合戦では椎名林檎のバックダンサー、2015年にはマドンナのバックダンサーに抜擢される。2016年リオ五輪の閉会式では日本のプレゼンテーション『SEE YOU IN TOKYO』に参加。2019年に『チワワちゃん』で俳優デビュー。Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』では女忍者の桜井あやめ役でバトルシーンも披露。近年主な出演作に【舞台】ROCK OPERA『R&J』【映画】『偽りのないhappy end』【ドラマ】YTV『降り積もれ孤独な死よ』など。今回の「女郎蜘蛛」は、2021年11月の初プロデュース舞台『DustBunnySHOW』に続く、プロデュース2作品目となる。
【インタビュー】
《企画のはじまり》
──今回の舞台「女郎蜘蛛」は、どのような経緯で企画が始まったのでしょうか。
仲 「何かをやりたい」という気持ちはずっとあったんです。今回でプロデュース作品は2回目なんですけど、1回目の作品とは違った挑戦をしたいと思っていて、4年空きましたが、ようやく空いて、ようやく「女郎蜘蛛」という作品をお届けできることになりました。
──作品の方向性はどのように決まりましたか。
仲 最初は、「こんな感じの作品をやってみたい」という、ところから始まって。打ち合わせでは「強い女性がやりたいです!」「心身ともにボロボロな女性がやりたいです!」って言いました(笑)
──そのオーダーに対する、中屋敷法仁さんの反応は。
仲 「じゃあ、毒婦はいかがです?」とご提案いただいて。想像の斜め上の回答すぎて「毒婦!?」って普通に笑っちゃいました(笑)。最高に面白いじゃないですか!

《中屋敷法仁との初タッグ》
──中屋敷さんとは、もともと面識があったのでしょうか。
仲 今回初めてご一緒できます。一方的に憧れていました。中屋敷さんが手掛ける舞台を観に行った時に、いい意味で「本当にぶっとんでるな、すごいな」って思って。なので、脚本・演出に「中屋敷さんどう?」ってご提案をいただいた時は「え、いいんですか?!」って驚きましたね。しかも仲 万美のことを知ってくださっていたみたいで、それもすごく嬉しかったです。
──中屋敷さんの演出で、印象に残っていることを教えてください。
仲 稽古のたびに毎回、全力で笑ってくれるんですよ。「かっこいい!」と言ってくださるのですが「この脚本、自分で書いたよね?」ってつっこみたくなるくらい(笑)。しかも毎回、同じところで笑うんです。変な人だな〜って思います(笑)。でも本当に、演劇と役者が大好きな方です。
──仲さんと中屋敷さんには似ている点は。
仲 虫が大好きなところが、似ているというか一緒です(笑)。
──ちなみに、とくに好きな虫は。
仲 それはやはり、蜘蛛です! あとは蝶々とか、カミキリムシも好きです。でも蚊だけは許せない。だって意味わからなくないですか? なんで人の血を吸って生きてるのって(笑)。

《キャスティングとご自身の役について》
──本作のキャストはとても豪華な顔ぶれですが、オファーの決め手を教えてください。
仲 まずは歌唱力が高いというのことを重視していて、その中から「仲 万美を喰ってくれる人」を探しました。自分の独壇場にはしたくなかったんです。
──これまでに共演されたことがある方は。
仲 西葉瑞希(夜桜お七)と岩佐美咲(夜嵐お絹)とは以前、舞台で共演しています。そのとき、歌声が本当に綺麗で惚れました。「いつか自分の舞台をやるなら、この2人は絶対に逃がさないぞ」って思っていて、その数か月後に「女郎蜘蛛」が決まり、お声がけさせていただきました。引き受けてくださると聞いて「あ、叶った!」って嬉しかったです(笑)。
──他のキャストはどのように選ばれたのでしょうか。
仲 自分で調べたり、他の方に推薦していただきました。最終的には実際に歌を聴いて、お芝居を見て、選ばせていただきましたね。
──キャストはそれぞれが何かしらの罪を犯した役を演じます。配役はどのように決めましたか。
仲 最初からなんとなく自分の中にイメージがありました。そのイメージと中屋敷さんの役の当て方がドンピシャで同じだったんです。「え、一緒だ!」って思って、すごく嬉しかったです!

──仲さんが演じる高橋お伝も実在の人物です。お伝さんのことはご存知でしたか。
仲 お伝さんの存在は知っていたので、自分がやるとなって「えー! あの伝説の!?」っていう感じでした(笑)。初めて台本を読んだ時は、共感できる部分があって普通に泣いちゃいました。
──具体的には、どのような部分に共感されたのでしょうか。
仲 訴え続けても理解されないところですね。それが自分の人生と重なりました。私も周りから「個性的だね」「唯一無二だね」って言ってもらえるんですけど、嬉しい反面、個性はみんなにあるのに、自分の個性だけが強くさせられた感覚なんです。それが扱いづらさに繋がるのは嫌だなって。
──それでも個性を出し、自分を訴え続ける原動力はどこにありますか。
仲 ないです(笑)。個性はもう、一生ついてくるものだから、しょうがないなって思っています!!
《オールフィメールの理由》
──全キャストを女性にした理由を教えてください。
仲 女性がぎゅっと集まったときの強さって、男性が混ざっているときとは違った強さが出ると思っていて。負けず嫌いだったり、こんちくしょう精神だったり。だから自分がこれからプロデュースをやるなら、絶対に女性だけがいいなって思っていました。
──今作では、女性のどのような姿を描いていますか。
仲 女性の泥臭さとか、ずる賢さとかをバンバン出しています。ねちっこい女性、大好きなんですよ(笑)。
《歌とダンスについて》
──本作の推しポイントを挙げてください。
仲 歌、凄いです! みんなの歌が本当に素晴らしくて、CDにしないともったいないレベル。歌稽古で鳥肌が立ちました。舞台の距離感であれを生で聴けるのはすごいと思います。
──仲さんももちろん、歌うんですよね。
仲 今までダンスしかしてこなかった人間だから、歌のノウハウが全然わからなくて……。感情で歌うしかないなって思ってます!
──ダンスについても教えてください。
仲 みんなには、本気のダンスをやってもらっています。振付は昔から一緒にやっている信頼できる方にお願いしていて、「役者だからと手加減はしなくて大丈夫です」とお伝えしています。
──稽古場の雰囲気はいかがですか?
仲 ずっとみんな笑ってます。静かな時間がないくらいで常に騒がしい。完全に女子会ですね。

《俳優として・プロデューサーとして》
──俳優として舞台に立つときと、プロデューサー兼俳優として立つときではどんな違いがありますか。
仲 大きくは変わらないです。俳優としてのときでも周りをよく見る癖があって。人が大好きなので、「いま、つまらなそうだな」と思ったら、自然と声をかけちゃいます。
──今回、プロデューサーとして意識的に声かけをされたりとかは。
仲 それはあります。稽古がスタートする前には、自分の想いをキャスト全員に伝えました。「私のわがままに最後までお付き合いください。お願いします」って。
──それに対して、キャストからの反応は。
仲 太田夢莉(花井お梅)から、「自分のやりたいことをあんなに熱く語ってくれるプロデューサーに初めて出会いました」と言われました。自分はプロデューサーである前に、人間として動いているのかもしれません。
──プロデューサーと脚本・演出家さんの距離感やバランスはどうされていますか。
仲 脚本・演出の中屋敷さんは、何かを決めなければならないときに、「じゃあ、万美ちゃん決めてください」と聞いてくださいます。すごく私のことを尊重してくださるので、こちらが恐縮してしまうくらいです。
《個人のこと》
──好きな食べ物を教えてください。
仲 3位は納豆、2位はお米、1位は卵! 特に生卵が好きで、卵を5個くらい割って、ご飯を入れて醤油もつけずに食べちゃいます。納豆もいれたらもう、最強ですね。
──今後、挑戦してみたい役はありますか?
仲 何でもやってみたい。超振り切った殺人鬼とかもやってみたいですね(笑)。
《最後に一言、「女を侮らないで」》
──最後に、観劇される方へメッセージをお願いします。
仲 かなり攻めたビジュアルと、お芝居、ダンス、歌が詰まっているので、観てくださる側も圧倒されると思います。でも、これは実在した女たちの物語だということを、改めて考えてほしいんです。このお話を観て、突き放すのか、手を差し伸べるのかは人それぞれですけど、嘘や真実、噂が入り混じり、見えるものがすべてではないという点で、今のSNS社会にも通じるものがあると思います。だからこそ、目に見えるものを鵜呑みにしないでほしい。
それとシンプルに「女を侮らないで」とも伝えたい。女性だって、やろうと思えば何でもできるし、勝つことだってできる。「強いでしょ?」と、そんな想いも込めています(笑)。とはいえ肩肘張らず、身を委ねて、純粋に楽しんでもらえたら嬉しいです。
【「女郎蜘蛛」公演概要】
プロデュース:仲 万美
脚本・演出:中屋敷法仁
公演期間:2026年2月19日(木)〜2月23日(月・祝)
会場:品川プリンスホテル クラブeX
《キャスト》
高橋お伝:仲 万美
雷お新:蘭舞ゆう
花井お梅:太田夢莉
白子屋お熊:安川摩吏紗
夜桜お七:西葉瑞希
大坂屋花鳥:なかねかな
夜嵐お絹:岩佐美咲
蝮のお政:永田紗茅
一条思瑠
平井沙弥
《チケット》
全席指定:8,500円(税込)
一般発売(先着)発売中
プレイガイド:ローソンチケット ※PC/スマートフォン共通
Lコード: 33437
【取材しての感想】
仲 万美さんの「プロデューサーである前に、人間として動いている」という言葉が、強く心に残っています。文章でどこまで伝えられるか分かりませんが、取材中の仲さんは終始楽しそうで、よく笑う、とても明るい方でした。Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』で演じられた忍者・あやめ役のミステリアスな印象が強かっただけに、今回の取材を通して感じたその温かさや深い愛情、そして役を生きる姿とのギャップに大変魅了されました。 そして何より、今回の舞台「女郎蜘蛛」に懸ける想いの強さがひしひしと伝わってきました。同じ表現者の一人として、作品に向き合うストイックな姿勢と圧倒的な熱量に、心から刺激を受けています。最強のメンバーが全身全霊で挑む舞台。誰もがまだ観たことのない景色に出会えることを、確信しました!(漆間虹美)
取材中、万美さんがスタッフの方へ向けられる眼差しや、細やかな気配りの一つ一つが温かく、現場の空気がとても柔らかかったのが印象的です。誰もが自分らしくいていいんだと思わせてくれるような、静かな強さを学びました。また、舞台の上で描かれる物語が、単なるフィクションではなく、万美さんの生き方そのものと繋がっているように感じました。万美さんだからこそ描ける、しなやかで力強い「自由」。それが舞台上でどう弾けるのか、今から楽しみでなりません!(加藤美羽)

取材・文:漆間虹美(東京藝術大学・左)
撮影:編集部、アシスタント:加藤美羽(早稲田大学・右)






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